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とりとめのない日記

ゴスロリ「フランケン」もアリだな

劇団トレメンドスサーカスさんによる舞台「フランケンシュタイン」を観てきた。

『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』2019年11月6日(水)~11月12日(火) | 劇団TremendousCircus公式HP

 

感想がツイッターに書くには長くなりそうだったので、ここにまとめます。感想というか観劇メモ。自分用という色が強いのでファンレターではないです。

 

ざっくりとした印象としては、筋書きは原作にかなり忠実! でもアレンジの癖が強い! まさに「翻案」を見ている感じで、面白かった。

以下、劇(原作および脚色部分)のネタバレを含むので未観劇の方はご注意ください。

 

やっぱり、エリザベスをそう描くかあ〜!という驚きが強かった。原作のエリザベスってかなり家父長制の社会に従順な、保守的な女性なんですけど、そんな彼女に怒りを芽生えさせて社会へ立ち向かわせたのは面白いね。原作においてクリーチャーは社会的弱者、つまり女性のメタファーなのでは?という説もあるけど、トレメンドスさんはクリーチャーとエリザベスを重ねてくるのね!

エンディング後の原作改変部分。死なせてやれよ! と思ったけど、ヴィクターの被造物/ヴィクターの半身としてのクリーチャーの物語はあそこで終わりを迎えたが、社会的弱者の象徴としての役はまだ終わってはいないと。死してなお消えないエリザベスの怒りが、自殺を決意したクリーチャーを再び蘇らせる。みたいな感じか……? このあたりはうまく飲み込めてないけど、エリザベスの解釈が面白かったのでよい。原作では知らぬ間にフェードアウトしていったアーネストもちゃんと拾ってあげてましたね。

 

……筋道立てて感想書くのって難しいですね! 一番印象的だったのは上に書いたので、あとは思いついたままに書くとします。

 

・私は原作ファンかつクラーヴァル大好き芸人なので、クラーヴァルの出てくる翻案! ということを楽しみにしてました。クラーヴァル、良かった! 騎士道物語や自然の美しさに心を踊らせる元気な姿がかわいかった。いやすごいかわいかったな。女性が演じてらしたので、ヘンリー・クラーヴァルの柔らかな人柄がよく出ていてよかったですね。あとヴィクターと並んだ時の身長差にときめき。ヴィクターとのヨーロッパ二人旅中、スコットランドで別れる時の「hasten, then, my dear friend, to return, that I may again feel myself somewhat at home, which I cannot do in your absence.」って私の好きな台詞の一つなんですけど、この舞台では「君は僕の家みたいなものなんだから」みたいに訳してて、おうち……!! と心がワクワクしました。いいよねえこの親友。

 

・小さな劇場でだいたい地声(マイクを使わない)だからなのか、役者の皆さんが基本大げさな演技だった。嫌いじゃない。アルフォンスとカロリーヌの掛け合いがコミカルになってて面白かった。

 

・エリザベスの拾われた経緯、クレンペ教授、ジュスティーヌの過去、等々「外見の美醜」に関する描写が強調されてましたね。

 

・ヴィクターは眼鏡+白衣の衣装が一番好きだった! 眼鏡が良い、眼鏡が。眼鏡をかけろ!

 

・ヴィクターのセクシュアリティに関しては疑問が残った。ジュスティーヌに初恋をして性的関係を持ったかと思えば、エリザベスを最愛と言うし、でもエリザベスにはゲイじゃないかと疑われるし。私は原作のヴィクターを無性愛もしくは性嫌悪だと考えているけれど、トレメンドスさんはどう描こうとしたんだろうか。まあヴィクターは信頼できない語り手なので、そのあたりはアンビギュイティを残しておいてもいいんだろうけど!

 

・ヴィクターかわいかったな〜。ヴィクターとクラーヴァルの二人旅のシーンがよかった。仲良しか!(そうだよ)

 

・劇はメアリー・シェリーご本人の語りから始まったけど、原作のあの「前書き」を引用しつつ、そこには書かれてはいない「女性が物を書くことへの社会の反応」「女性の立場の弱さ」をダイレクトに表明するので、なるほどこの舞台はそういう方向でいくのね……と分かりやすかった。メアリー役のお姉さんがとてもかっこよかった! 兼役で舞台に出てくるたびに目で追ってしまった。

 

・クリーチャーの表現方法が面白かった。巨大な仮面を使ったり、目・耳・鼻・口のパネルを使ったりして、複数の役者がクリーチャーを表現していた。一目見て誰もが嫌悪するほどの醜さってなかなか視覚的に表現が難しいので、このように抽象的に表現するのは良いな〜と思いました。抽象的な分、感情移入がしづらい節はあったけど。

 

・翻案でなかなか登場しないウォルトンもちゃんと出てきた。ウォルトンがとってもかわいかった! 姉さーん見てるー!?

 

・前説、鑑賞中の注意事項を述べる時に「ヴィクターは清潔な実験動物を求めるので飲食はやめてね」みたいにいちいち理由をつけてるのがかわいかった。ヴィクターは「博士」じゃないですと言ってたのが好感度が高かった。ヴィクター・フランケンシュタインに博士号はありません。ヴィクターの公開実験!みたいな感じでご案内していたんだけど、「現代のプロメテウス」を自称するのはちょっと笑ってしまった。それ磔にされるけど大丈夫なんですか。

 

 

こんな感じだろうか。手放しで「良い!」と褒めてはないけど、総評すると良い舞台だと思った。「フランケンシュタイン」の翻案の中では好きな部類。筋書きはかなり原作寄りなので、「どこを強調するのか」に集中できて楽しかった。ビジュアルに関して言えばめちゃくちゃ好き!!!(この作品において外見の良さを大きな加点にするのはいかがなものか?とも思うけどだって良いものは仕方ないもんね)

観劇前に「内容が良かったらグッズも買おう」と思ってたんだけど、ブロマイドを買わせていただいた。

ありがとうございました。

 

ビジュアルが良かった記念。(ヴィクターとクラーヴァルです)

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