201周年
年末に再放送をしていた、青春アドベンチャーのフランケンシュタイン | NHK オーディオドラマ。
私は「フランケンシュタイン」(原作)が大好きなので関連作品と聞けば軽率に履修している。このオーディオドラマも聞いてみました。
感想を一言でまとめると、
最高!!!!!!
深呼吸。落ち着いた。
今まで履修してきた「フランケンシュタイン」の各メディア化の中で、(朗読を除き)一番原作に忠実なんじゃないかな? という印象を受けました。
なのでめちゃくちゃ、感動しました。大好きですこのオーディオドラマ。
というのも、
何をもって「原作に忠実」とするのかは人それぞれだけど、私はヴィクターとエリザベス、ヴィクターとクラーヴァルの関係性が私の解釈に合っているかを一番に重視する。
ヴィクターは無意識的に結婚から逃げようとしてるといいし、ヴィクターとクラーヴァルが仲良しであればあるほどいい。
しかしこの希望が叶えられるメディア化っていうのはほとんど無い。特に映画化となると、ヴィクターのヘテロ的側面がすごく誇張されたり、エリザベスがかなり能動的になっていたり、クラーヴァルの役割が軽視されていたりする。ともすればクラーヴァルの存在が抹消されてたりする。
もちろん、いいメディア化もある。
2015年の映画版「フランケンシュタイン」(Frankenstein (2015 film) - Wikipedia)はクリーチャー視点の映画で、舞台が現代に移されたりクラーヴァルが存在しなかったりするけど、原作の持つメッセージ性をしっかりと継承しているので私は大大大絶賛してる。
伊藤潤二先生による漫画版「フランケンシュタイン」(Amazon CAPTCHA)は、後半の展開は大きな改変があるものの、かなりクラーヴァルを大事に描いてくださっててとてもよかった。
NTL舞台版「フランケンシュタイン」も大変良かったし。(詳しい感想はこっち→200年越しに愛を - ぴかぴかマグパイ)
そんな風に良いメディア化はたくさんあるけれど、クラーヴァルを原作のままに描いてくれるメディア化にはもう一生出会えないのではないかと思っていた。
そんな中で出会った青春アドベンチャー、オーディオドラマのフランケンシュタイン。
すごい……すごいんです……クラーヴァルがちゃんと……"""居る"""んです……
感動しました。しかも、短い尺の中で原作での2人の仲の深さを端的に表すためなのか、ヴィクターとクラーヴァルが声を揃えてクラーヴァルの父親の口癖を真似してみたり、ロンドン旅行の際にめちゃくちゃはしゃいでいたりとオリジナル演出が加えられていて私は……
もちろんクラーヴァル以外の点としても、特にクリーチャーの語りは彼の苦しみがぐいぐいと伝わってきて涙を禁じ得なかった。
すごく、良かったです。こんなに良いメディア化に出会う事ができてよかった。再放送してくれてありがとうNHK。
たくさんイベントが催された、「フランケンシュタイン」出版200周年は2018年で終わってしまったので、少し寂しさがある。
でもまあ、今年の終わり頃には「この50年で最も素晴らしいホラー画家の1人と世界的に評価される」Bernie Wrightsonによる挿絵付き「フランケンシュタイン」……のアーティスト・エディションなるものが出版されるらしい。(BERNIE WRIGHTSON’S FRANKENSTEIN Showcased in Upcoming IDW Artist’s Edition – IDW Publishing)
彼の挿絵は本当に美麗で、紙版が見つからなかったのでKindleで購入したのだけど、あまり画質が良くないので紙版が新しく出るのであればぜひ購入したいので、楽しみにしている。
あとは2020年にはミュージカルの「フランケンシュタイン」(日生劇場『フランケンシュタイン』)が再演されるらしい。初演を観た事がないので解釈が合うかは観るまでわからないけど、こちらも楽しみ。
今後も、新しい映画化等々が出るといいな〜!
200周年の年は終わってしまったけど 、これからも楽しんでいきたい。
「フランケンシュタイン」に出会えてよかった。