ぴかぴかマグパイ

とりとめのない日記

200年越しに愛を

フランケンシュタイン」オフ会をやってきました。

 

シネ・リーブル池袋で上映中のベネ様主演舞台「NTL:フランケンシュタイン/カンバーバッチ怪物版」を見て、

https://ttcg.jp/cinelibre_ikebukuro/movie/0538800.html

 

銀座のBar十誡さんで「フランケンシュタイン」イメージのカクテルを飲むという充実っぷり。

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(オフ会時の写真。打ち合わせたわけでもないのに、2人して同じ新潮文庫本を持ってくるという……)

 

同じ小説を好きな人同士が、出版から200年経った今、それを理由に集まることができたということに感慨深さを感じました。とても楽しかったです。

 

 

以下、舞台NTLフランケンシュタインの感想です(※ネタバレ含)

 

とりあえず上映終了直後に出てきた言葉は、

 

「…………………………………………………………………………アリだな」

でした。

 

原作と同一ではないが、いち解釈としてはめちゃくちゃアリ。

この舞台にはヴィクターの親友ヘンリー・クラーヴァルが一切登場しないので、私の「フランケンシュタイン」における最推しの関係性である「ヴィクターとクラーヴァル間の友情」は見られなかったものの……むしろだからこそ、最高でした。このあたりの詳細は後述。

 

ヴィクターよりもクリーチャーが主人公、という印象の構成。物語はクリーチャーが目覚めるところから始まり、そのまま彼が外の世界に出て、ド・ラセー家の元へ辿り着く……といった流れで始まります。

ストーリーの省略、改変はあるけれどけっこう原作に忠実でした。

 

NTLフランケンシュタインの好きなところ!!

1.二重に描かれる「父対子」の構図!!

「創造物を抑えつけようとするヴィクター」対「それに反抗するクリーチャー」の構図が、

「息子を失敗作と嘆くヴィクター父」対「反抗期ヴィクター」の構図と完全にシンクロしていて大変よかったです。

「父対子」は原作でも大きなテーマの1つとなっているので、それが舞台でもしっかり受け継がれているのは原作クラスタとして好感度が高かったです。

 

NTLフランケンシュタインの好きなところ!!

2.ヴィクターとクリーチャーが2人で1つなところ!!

終盤でヴィクターがし、死んだ……? となったシーンで、クリーチャーが「私を置いていかないでくれ」「私たちは2人で1つだ」と嘆いていたのを見て、""""理解(わか)""""る…………と思い、涙が出そうになりました。

私は原作においてクリーチャーはヴィクターのイド(無意識下の欲望)だと思って2人を同一だと見なしているので、この台詞のわかりみが、強かったです。

 

NTLフランケンシュタインの好きなところ!!!!

3.ヴィクター・フランケンシュタインのキャラ解釈!!!!!

これがマジで一番インパクトがあった要素で、これが閉幕後の例の「…………………………………………………………………………アリだな」という感想に大量の三点リーダが存在する理由でした。

 

クライマックスでヴィクターは、「私は愛情や優しさを拒絶してきた」「嫌悪しか理解できなかった」と語ります(台詞はうろ覚えですが)。

 

「嫌悪しか理解できなかった」。

 

最高。

私は原作におけるヴィクターは性的な事に対して恐怖や嫌悪を抱いている、という解釈を持っています。舞台ではこれを「(性的であるか否かにかかわらず)愛情そのものへの拒絶反応」と解釈して描いていた。

なるほどなるほど、とても面白い。面白い解釈だ。

そしてこの台詞を聞いて、この舞台にヘンリー・クラーヴァルが存在しない理由に気づきました。

なぜなら……原作のヴィクターは、クラーヴァルのことを「自分の不完全性を埋めてくれる、自分より賢くて、素晴らしくて、賢い半身」だと嬉々として語ります。クラーヴァルのことを「彼ほど賞賛に値する人間はいない」と言い、何度も何度も彼への(友情的な意味での)愛情を示します。

友人クラーヴァルのおかげで友情を理解したヴィクターは、「私は友人というものを語る資格がある」と言ったりもします。

 

しかし翻って、舞台のヴィクターは「嫌悪しか理解できなかった」と。愛情が理解できなかったと言う。このセリフを聞いた瞬間は、上で語った原作ヴィクターのイメージとあまりにも違ったので、困惑しました。(これが上映直後感想の三点リーダの理由)

けれど、舞台のヴィクターはつまるところ「ヘンリー・クラーヴァルが存在しなかった世界線のヴィクター・フランケンシュタイン」なんだと考えると、腑に落ちたというか、すとんと納得して、「アリ…………」となりました。

というのも、クラーヴァルが居る(原作)のと居ない(舞台)のとでヴィクターの性格がかなり違う。つまりこの舞台はクラーヴァルが存在しない事で、クラーヴァルの存在意義を証明している。彼がヴィクターに及ぼす影響の強さを示唆しているということだ。

なので、クラーヴァルの存在意義を証明するような舞台版ヴィクターのキャラメイクは大変好きです。

(この筋書きのままで舞台にクラーヴァルが登場していたら、たぶん解釈違いでキレていたと思う……)

 

 

「父対子」の構図の強調、ヴィクターとクリーチャーの同一感、ヴィクターのキャラ解釈、の3点が特に「好き……!!」となったところでした。実質ハッピーエンドな終わり方とか、ハリウッド映画みたいに変にヘテロ要素を誇張してないところとか、好感持てる点は他にもたくさんあったけど、際限なくなりそうなので……

 

というわけで、「NTL:フランケンシュタイン/カンバーバッチ怪物版」

https://ttcg.jp/cinelibre_ikebukuro/movie/0538800.html

大変良かったです。

今回見たのはベネ様がクリーチャー役のバージョンだったけど、ベネ様がヴィクターを演じているバージョンも見に行く事にしました。

いやあ……いいものを見た。どうして円盤出てないんですかねッッッッッ